プールを安全かつ衛生的に運用する上で、ろ過機の導入は欠かせません。本記事では、ろ過機が必要な理由や水質基準、代表的な3つのシステムの特徴から費用相場までをわかりやすく解説します。
新規導入はもちろん、既存設備の改修を検討している事業者にとっても役立つ内容です。後悔しない業者選びの参考としてご活用ください。
プールにろ過装置を設置しない状態では、極めて短期間のうちに水質が悪化します。水を張ったまま放置すれば藻が急速に発生し、蚊が卵を産み付けてボウフラが湧くなど、深刻な害虫の発生源にもなりかねません。
ろ過システムは、水中の微細な汚れや皮脂、浮遊する木の葉などを的確に除去し、塩素消毒と組み合わせることで衛生的な水辺環境の維持に大きく貢献します。
プールの安全性を保証する公的な基準として、厚生労働省が定める「遊泳用プールの衛生基準」と、文部科学省が定める「学校環境衛生基準」の2つが存在します。個人邸や一般の商業施設では厚生労働省の基準が衛生管理の指標となり、学校プールについては文部科学省の基準に則って厳格に管理される仕組みです。
両者で管理項目や検査の実施頻度に細かな違いはあるものの、pH値や遊離残留塩素濃度、大腸菌の有無など、水質管理の根本的な考え方は共通しています。主な数値基準として、pH値は5.8から8.6※1の範囲、遊離残留塩素濃度は0.4mg/L以上※1(厚生労働省基準では1.0mg/L以下※1が望ましい)とし、大腸菌は一切検出されないことと定められています。
なお、これらの水質を適切に維持するため、遊離残留塩素濃度は1時間に1回以上、pH値などは1日に1回以上※2といった測定頻度の目安も設けられています。
プールのろ過装置は、大きく3つのシステムに分類されます。導入するプールの規模や利用目的、何を重視するかによって適した方式が異なるため、選定に必要な各構造と特徴を確認していきましょう。
頑丈なタンク内のろ過砂に水を通し、汚れを物理的に濾し取るオーソドックスな方式です。ろ過精度が安定しており、逆洗機能によって砂の汚れを自動で洗い流せるため、ろ材を長期間使用できるメリットがあります。
一方で、本体サイズが大きく独立した機械室の確保が必要な点や、数年ごとに発生する砂の入れ替え作業に一定の手間とコストがかかる点に留意が必要です。
珪藻土の粉末をろ材表面に付着させて繊細なろ過膜(プレコート膜)を形成し、その膜で水中の微細な異物を捕捉します。逆洗時には珪藻土ごと蓄積した汚れを排出し、新しい珪藻土を投入してろ過膜を再形成するため、常にリフレッシュされた状態で高いろ過性能をキープ可能です。
優れたろ過精度を誇り、目に見えない汚濁物質や一部の微生物の除去に寄与しやすい方式ですが、適切な衛生管理には塩素消毒や定期的な水質測定が欠かせません。ランニングコストは比較的抑えられるものの、珪藻土の定期的な補充や廃棄処理の手間は伴います。
専用の紙製や布製の特殊フィルターをセットして汚れをダイレクトに捕捉する、極めてシンプルな構造です。独立した機械室が不要で初期の設置費用を安く抑えられ、日常のオペレーションも非常に簡単な点が魅力。
ただし、他の大型方式と比べるとろ過精度はやや制限され、フィルター自体は使い捨てとなるため、定期的な消耗品交換費用が維持費として発生します。
ろ過システムを選ぶ際は、プールの用途や想定される利用者数に合わせて検討することが重要です。導入時の初期費用だけでなく、長期的な運用にかかる維持費のバランスも考慮して、適した方式を見極めましょう。
個人邸や小規模なプライベートプールには、カートリッジ式ろ過装置が適しています。スイッチ操作のみで日常管理ができ、専門的な知識は不要です。独立した機械室が不要でコンパクトに設置できるため、限られたスペースにも導入しやすいでしょう。初期費用を抑えられる反面、定期的なフィルター交換が必要になるため、維持費の構造をあらかじめ把握しておくことが大切です。
多くの利用者が集まる大規模プールには、可逆式珪藻土ろ過装置が向いています。代表的な方式の中でも微細な汚濁物質の除去性能に優れており、厳しい水質基準を満たすための衛生管理に有効です。ただし、十分な衛生維持には塩素消毒や定期的な水質検査を組み合わせた運用が前提となります。また、省スペース設計のため既存施設を改修する際にも選びやすいシステムです。
医療や福祉施設のリハビリ用プールには、可逆式珪藻土ろ過装置が有力な候補となります。利用者の免疫機能が低下しているケースも想定されるため、一般細菌レベルまでしっかりと除去できる高度な衛生管理能力が必要です。高い衛生基準を満たしつつ、性能低下を抑えて安定した水質を保てるため、長期的な施設運営にも安心感をもたらします。
ろ過機の導入にあたっては、本体価格や工事費などの初期費用と、電気代や点検などの維持費を総合的に検討する必要があります。業務用の循環ろ過装置は、ろ過能力が6から28㎥/hのクラスで約590万から880万円※が本体価格の目安となり、別途配管工事費などがかかる仕組みです。
一方で、1万円前後の家庭用簡易品は、業務用に比べて処理能力や耐久性が限られる傾向にあるため、不特定多数が利用する常設プールの衛生管理には推奨されません。導入時はプール容量に対する循環能力や、消毒設備の有無を必ず確認しましょう。
ろ過装置の運用には、電気代や薬品代、定期点検費などの維持費が継続して発生します。家庭用プールの維持費は、プールの総水量や稼働時間、ろ過方式、地域の電気・水道料金、使用する薬品の種類によって変動する要素です。
以下は、代表的な家庭用プールブランドの一例として、マジラインプールを適切にメンテナンスした場合の年間コスト目安となります。これらはあくまでも一例であり、実際の費用は施工業者に具体的な使用条件を伝えた上で、見積り確認をしてみると良いでしょう。
| 項目 | 年間の費用目安 |
|---|---|
| 電気代 | 80,000~100,000円/年間 |
| 薬品代 | 25,000~30,000円/年間 |
| 水道代 | 5,000~10,000円/年間 |
| 点検費 | 50,000~60,000円/1回 |
採用するろ過方式やプールの規模によって、維持費の構造は大きく異なります。初期費用が高くなりやすい砂ろ過方式や、定期的な消耗品費が継続するカートリッジ式など、それぞれの特徴を踏まえたうえで導入前には必ずランニングコストを含めた詳細な見積りを取り、中長期的な負担額を確認しておきましょう。
ろ過装置の適切な設置は、設計段階でスペースをあらかじめ確保しておくことが重要です。プールの施工実績が乏しい業者に依頼してしまうと、意匠デザインを優先するあまり、必要な機械室やろ過装置のスペースを設計に盛り込み忘れるといった大規模な修正を招くミスが起こりえます。
また、プール本体の構築とろ過設備の施工をそれぞれ別々の業者に分担させるような場合、仕様のミスマッチが生じたり、万が一の水質トラブル時に責任の所在が曖昧になることで、原因究明や復旧対応が遅れるリスクが伴います。構造的な不具合を未然に防ぐためにも、設備選定から現地施工までを一貫して任せられる専門性の高いパートナーを選ぶことがプロジェクト成功の鍵を握ります。
ろ過機の選定や稼働シミュレーションは、施工業者が持つ技術力や提案力に大きく左右される要素です。当メディアでは、国内のプール施工業者を徹底的に独自調査。ろ過設備まで含めてワンストップで一貫対応できる実績を持った専門業者を、施設タイプ別・目的別に厳選して紹介しています。
新規の建設プランはもちろん、既存プールのろ過設備更新やスペックアップを検討されている事業者も、確実な業者選びの判断材料としてお役立てください。
各社の施工事例や特徴を調査し、現在導入が進んでいる「リゾート宿泊施設」「レジャー施設」「リハビリ施設」の3つの施設タイプ別に、おすすめのプール施工業者を紹介します。依頼先選定の参考としてお役立てください。
700台のプール施工実績※1に基づく技術力とノウハウで、ロケーションの魅力を引き出し、施設のコンセプトを活かしたプールを設計・提案できる。
フランス発の高性能ブランド「マジラインプール」を採用。国際特許を取得したろ過装置※2により、各プールの水質管理を独立して行えるため、客室ごとの稼働状況に合わせたメンテナンスが可能になる。
ウォータースライダーなどのアミューズメント設備を自社で設計・製造し、プールと遊具を組み合わせた話題性と集客力のあるアクティビティ空間を提案できる。
既存プールの改修や遊具の後付けにも対応。吸込事故を防止する施工など、プール事業48年※3で培った技術により、万が一の事故で運営が止まるリスクを抑えた施設へとリニューアルできる。
歩行が難しい方が安全に入水できる電動リフトや、回復に合わせて強さを調整できる流水プールなど、リハビリに特化した専用機器を自社で研究開発・製造。歩行や機能訓練向けの水中環境をつくりだせる。
既存の建物にも設置しやすい、軽量なFRP製プールに柔軟に対応。外から姿勢を確認できる観測窓など、他施設と差別化したリハビリ用プールを実現できる。